夜の挨拶として用いる「こんばんは」と「こんばんわ」は、LINEやメールで書く際に迷う方も多いかもしれません。今回の記事では、この二つの表現の正しい使い方と、公式な場面とカジュアルな場面での使い分けについてご紹介します。
言葉の背景を知って、適切な表現を身に付けましょう。
「こんばんは」と「こんばんわ」、どちらが正解?
結論としては、正式な文書やビジネスの場では「こんばんは」が正しい表記です。漢字で書くと「今晩は」となり、もともとは「今晩は…」と続く表現の中で使われていました。
この「は(ha)」は助詞であり、他の例でいう「私は…」「これは…」と同じく、主語に続く助詞の役割を持っています。そのため、公式な文章では「こんばんは」を使うことが適切とされています。
なぜ「こんばんは」が正しいのか
「こんばんは」は、もともと「今晩はお元気ですか」「今晩はいい夜ですね」など、会話の冒頭に使われる挨拶でした。
時代とともに「今晩は」が短縮されて、挨拶として定着し、「こんばんは」とひらがな表記で用いられるようになったのです。そのため、他の場面でも助詞「は」を使用するように、「こんばんは」も助詞を含んだ形が自然な表現とされています。
「こんばんわ」は間違い?それともOK?
「こんばんわ」は、話し言葉やカジュアルな文面でしばしば目にする表現です。特に、友人同士のSNSやメールでよく使われ、くだけた場面での挨拶として親しまれています。
「こんばんわ」と書くことで、リラックスした雰囲気や親しみが伝わりやすくなるため、軽いコミュニケーションでは許容されている表現です。
また、辞書には「こんばんは」だけでなく「コンバンワ」という感動詞としての表記が見られる場合もあります。これは「わ(wa)」という音のニュアンスが親しみを含んでいるためで、親しい間柄では使用が可能ですが、正式な文章ではやはり「こんばんは」が適しています。
言葉の変化と「慣用読み」
日本語は時代とともに表記や読み方が変わることがあり、こうした変化を「慣用読み」と呼びます。慣用読みは、もともと正しいとされていた読み方から、使う人が多くなることで、正式な意味として認識されるようになったものです。
たとえば、以下のような例があります。
- 雰囲気:「ふんいき」が正しい読み方ですが、「ふいんき」と発音する人も増えてきています。
- 早急:「さっきゅう」が正式ですが、「そうきゅう」と読む人も多くなっています。
- 御用達:「ごようたし」が本来の読み方ですが、「ごようたつ」と読む方も増加しています。
- 出生:「しゅっしょう」が正しい一方で、「しゅっせい」とも読まれることが増えています。
こうした慣用読みは、若者言葉やネットでの表現に多く見られ、「こんばんは」も、正式には「は」が正しいものの、カジュアルな場面で「わ」が使われるようになった例のひとつです。
正式な使い分け
正式な使い分けについて確認しましょう。
- 公式な文章では「こんばんは」
公的な場やビジネスメールでは、助詞「は」を用いた「こんばんは」が適切です。正しい日本語表現として、試験やフォーマルな文章でも「こんばんは」を使うようにしましょう。 - フランクな場面では「こんばんわ」もOK
SNSや友人とのチャットなど、カジュアルなやり取りでは「こんばんわ」が使えます。話し言葉として親しみを表現したいときには、「こんばんわ」も悪くない選択です。ただし、公式な場面では避けるようにしましょう。 - 迷ったら「こんばんは」を選ぶのが無難
どちらの表記を使うべきか迷った際は、正式な表現である「こんばんは」を選ぶと、ビジネスやフォーマルな場面でも誤解がありません。一方、「こんばんわ」を使いたい場合は、状況に応じてリラックスしたやり取りの際に使用しましょう。
使い分けを意識して親しみやすさと丁寧さを両立
「こんばんは」と「こんばんわ」は、どちらも夜の挨拶として自然に使われますが、文面に適した使い方を意識すると相手にも誤解なく伝わります。
特に、ビジネスシーンやフォーマルな会話では「こんばんは」を選ぶと安心です。一部の作家やクリエイターの間では、「こんばんわ」をあえて使用することでリズムや温かみを持たせることもありますが、基本的な表記ルールを守ることで、失礼のないコミュニケーションができるでしょう。
まとめ
- 公式な場では「こんばんは」を使用
漢字表記に準じた正式な形として、テストや公的な文書では「こんばんは」を用いることが一般的です。 - 親しい関係では「こんばんわ」も自然な表現
親しい友人やSNSでの軽い会話では、「こんばんわ」の方が親しみやすさが感じられ、相手にもやわらかな印象を与えます。 - 迷ったときは「こんばんは」を選んでおけば無難
どちらを使うべきか迷う場合や、どちらが適切か分からない場合は、正しい日本語として「こんばんは」を選ぶことで誤解を招かず、丁寧さを保つことができます。
このように、「こんばんは」と「こんばんわ」を場面に合わせて使い分けることで、正確で適切な表現ができ、相手にも好印象を与えられるでしょう。