電車に乗ると、多くの人が座れずに立っていることがよくあります。そんな立っている人たちが電車の揺れで倒れないように支えとして使うのが「つり革」です。
特に都市部では、多くの乗客がつり革を握って体を支えています。そのため、「つり革は不衛生だ」というイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし、揺れる電車の中で自分の体を支えるのは難しく、「つり革に触りたくない」と思っていても、転倒を防ぐために仕方なくつり革を握る人も少なくありません。
では、本当に「つり革」は汚いのでしょうか?何らかの対策が取られているのではないでしょうか?
そこで今回は、つり革の衛生状態について調査し、その結果をまとめてみました。
つり革の材質について
会社によって異なりますが、電車のつり革に使われている素材はほとんどがプラスチックです。握るために作られているつり革は、表面が滑らかで傷が少なく、菌が繁殖しにくい環境になっています。
最近では、つり革に使用するプラスチックに抗菌処理が施されているものも多く、つり革はそれほど汚いわけではないようです。
しかし、つり革の材質は「菌が繁殖しにくい」だけで、「菌を殺す」わけではありません。そのため、普段はそれほど汚れていなくても、手が不衛生な人(例えば、トイレ後に手を洗わない人や、口に手をあててくしゃみをする人、手が汗ばんでいる人)が触れると、つり革は一時的に汚れることがあります。
それでも、つり革を触ったからといって多くの菌が手に移るわけではなく、そこまで心配する必要はないでしょう(気持ちの問題もありますが)。
つり革の清掃頻度について
毎日多くの人が利用する電車では、床や窓、手すりと同様につり革も汚れます。
電車の車内清掃は当然行われており、特に都心部の大手鉄道会社ではしっかりと清掃されています。しかし、その頻度は毎日ではなく、会社によりますが2週間に1回程度が一般的です。
つり革の清掃については、アルコールなどで消毒することは少なく、雑巾で拭う程度がほとんどです(会社によります)。
プラスチック製のつり革は、雑巾で拭うだけでもある程度の菌を落とすことができますが、消毒に比べれば完璧に除菌することはできません。
一方で、毎日しっかりと車内を清掃し、つり革も一つ一つ取り外して洗浄する鉄道会社もあります。特に地方のローカル線では、このような徹底した清掃が行われていることが多いようです。
つり革に付着する可能性がある菌について
つり革に付着する菌は、主に人の手のひらから移ったものです。菌というと不衛生なイメージがありますが、健康に影響のない菌や、体を守る役割を持つ菌もいます。
- 常在菌:普段から人の体に存在し、病原性はありません。代表的なのは、表皮を保護する「表皮ブドウ球菌」などです。過度な手洗いや消毒は、常在菌を減少させることがあるので注意が必要です。
- 通過菌:不衛生な環境や器具に接触した際に一時的に付着する菌です。代表的なのは「黄色ブドウ球菌」や「大腸菌」などです。短時間で手から除去できるため、つり革を触った後は石鹸で手を洗うとよいでしょう。
まとめ
都心部の電車のつり革は、多くの人が握るため、完全に清潔とは言えませんが、それほど汚くもありません。
電車から降りた後や、持参しているウェットティッシュで手を拭くことで、ある程度の除菌が可能です。ただし、つり革を握ったときに不快な経験をすると、どうしても「汚い」と感じてしまうものです。毎日、通勤で電車を利用するという方もいることでしょう。
どこの会社でももちろん、衛生管理はしていることでしょう。衛生的に気をつけることは大切ですが、過度に心配する必要はありません。